あぁだから、言ってんじゃねーか。

 

 

「無理なら殺せ」

 

 

もう全部どうでも良くなっちまったんだ。

 

 

「嫌なら愛せ」

 

 

欲しいものはオマエの持つ橙色だけだ。

さっきからずっと、もう何日も前からずっと

 

 

「俺はどっちでも良いぜ」

 

 

ずっとそう言ってる。

 

なのに、オマエは、ずっと困った顔で笑うだけじゃねぇか。

煮え切らないったらありゃしない。

 

 

「どっちって言われてもね、竜の旦那」

「選べと言ってる。you see?」

「選ぶも選ばないもないでしょーよ」

 

 

困ったお人だよ、と。

鉤爪のついたままの指で頭を掻いた。

生温い風が吹くばかりの庭先で。

間抜けに欠けた月を背負った佐助が。

 

 

「次までに決めておけ」

「えー、だからさ、選べないってば」

「うるせぇ。黙って決めろ」

 

 

馬鹿め。と手元にあった筆を投げつければ

見事にそれを避け、彼は闇へと同化した。

苛々してくんだよ、これも全部オマエの所為だ。

責任を取れと詰め寄ればいいかもしれないな。

そしてあいつはまた、困ったように笑って誤魔化すんだ。

そして俺はまた誤魔化されてやるんだ、きっと。

 

 

 

愛してほしい。

ダメなら死ねる勢いだから

もうオマエが殺しておくれ。

 

 

(選べ)

 

 

頼むから、俺を。

 

 

 

 

 

 

 

− − に祈れどは無く。 − −

 

 

 

END

__________

提供:Jazz Bug
07 橙と諦めの悪いぼく

070507